投資信託の選び方

確定拠出年金やNISAなど資産運用に関する税の優遇措置がどんどん拡充され、さらに積立型NISAも始まろうとしています。

徐々に「貯蓄から投資へ」の流れが広がりつつあり、そうなると当然、投資信託に触れる機会も多くなってくることと思います。

では、投資信託はどのように選べばいいのでしょうか?


まずは、手数料に注目。

資産運用の運用成績を決める重要なポイントは、なんといってもコストです。

普段の消費生活の中では、「安物買いの銭失い」という言葉にもあるように、安いものよりも高いものの方が、物がいいということがほとんどかと思います。ですが、金融商品に関してはそれが当てはまらないことが多いです。

なぜなら、投資信託にしても、自分で直接株式を購入するにしても、投資先が同じ株式であったりするため、運用利回りは、投資信託のコスト分自分で直接購入するよりも、投資信託の方が利回りが下がる傾向にあるからです。

『投資信託って、どういう金融商品?』(参照)

投資信託は、運用のプロが運用してくれるのだから、多少手数料がかかっても自分で運用するよりも有利なのでは?という意見もあるかもしれません。しかし、実態はそうでもないことが多いようです。

なんと、プロが運用しているはずの投資信託のほとんどが市場平均(インデックス)に負けているという話もあります。(下は、そのことを説明する代表的な書籍)

プロが市場平均に負けてしまう最大の理由は運用コスト(投資信託の場合、「信託報酬手数料」)にあるとされています。市場平均以上の成績を目指そうということが無駄とは思いませんが、市場平均以上の運用を目指しても、コストが高ければ、それだけ市場平均を超えるのことが難しくなるということです。

さらに、資産形成のための長期投資ともなれば、複利の効果も影響してくるため、その差はとてつもないものになってきます。

つまり、特別な運用を望むよりも、ひたすらに低コストの運用を目指す方が成績が良くなる可能性が高いので、投資信託を選ぶときには、とにかくコスト(販売手数料や信託報酬手数料)が低いものから選んだ方がいいと言えます。


リスクとリターンを調べる

投資信託の話になると、運用コストの次の話題として、投資先などが話に上がるかと思いますが、その前にリスクとリターンについて確認することが大切だと思います。

リスクとリターンの確認について、シャープレシオという数字を使ったり、グラフや図を使って説明されていたりしていますが、正直ピンとこないと感じることはありませんか?

直感的にわかりやすいのは、やはり過去の実績であるチャートではないかと思います。

そして、そのチャートはできれば10年以上のものをお勧めします。そのためには、投資信託の運用が開始されて10年以上経過していることも必要とされますが、資産形成のために長期投資をすることを考えれば、今後も安定的に運用し続けてくれる安心感があった方がいいため、そういった意味でも、運用開始から10年以上経過したものから投資信託を選ぶ意味はあると思います。

10年以上のチャートとしたのは、経済のサイクルが一回りするのに約10年はかかるという考え方からきています。

つまり、良いときと悪いときの両方を確認できるように10年以上のチャートを見てみようということです。

ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンド(SBI証券へ)

日経平均225という市場平均のインデックスに連動させることを目標とした投資信託ですが、これを見ると、2007年から2009年までの約2年間大きく下落ていていることがわかるかと思います。ちょうどリーマンショックなどの金融危機が起きていた頃です。この期間で約17,500円から7,500円ぐらいまで大幅に下落しています。

まずは、この価格下落を受け入れられるのかがポイントになります。

経済環境が悪いときは、これと同じような下落をすることがあるかもしれないと考えることができます。

また、運用開始(2004.4)時10,000円だった基準価格が10年後には16,500円になっています。つまり、長期で投資すれば、約65%ものリターンが得られるかもしれないということもわかります。

もう1つ見てみます。

BAM-ワールド・ボンド&カレンシー・ファンド(毎月決算型)(SBI証券へ)

これは、為替ヘッジなどを使いながら世界の高利回り債券に投資する投資信託ですが、運用開始当初10,000円から7,500円ぐらいまでの下落がありましたが、その後は目立った下落もなく上昇していることが見て取れます。(分配金込み再投資後の基準価格)

日経平均225では大きく下落していた期間、2007年から2009年の間も、若干下落はしているものの約14,200円から13,400円程度と比較的小幅なものに落ち着いています。運用開始時(1998.4)に10,000円だった基準価格は、10年後約14,200円となり、日経平均225ほどではないですが、長期投資によって42%のリターンを得ることができたと言えます。

投資信託に限ったことではありませんが、金融商品で資産運用をするときには、価格の下落はほぼ絶対避けて通れないものです。長期的に見れば、プラスになるとわかっていても、短期的な下落に耐えきれなく運用をやめてしまうこともあります。

10年以上の運用成績を見ることで、投資環境が悪化した時の最大損失、損失に耐えて長期投資をすることで得られるであろうリターンをチャートをつかって想像することをお勧めします。


何に投資しているのか、運用戦略はどのようなものか?

極端な話ですが、チャートを使ってのリスクとリターンのイメージ、たとえば、どんな時に調子が良くてどんな時に調子が悪いのか?、調子が悪いときはどのくらいの損失を抱えることになるのか?、長期投資をすれば資産は増えるものなのか?、またはどの程度増える可能性があるのか?、がイメージできれば、なにに投資をしているか、どんな投資方法なのかはそれほど問題ではないと思っています。

ただ、何に投資をしていて、どのような投資戦略で運用されているのかがわかることで、リスクとリターンのイメージをさらに強化し、投資先や投資戦略の特徴を活用してさらに好リターンを狙おうとすることもできると思います。しかし、そのためには、投資の関する勉強も必要になってきます。

何に投資をしているかで注意しないといけないことは、1つの国の国債などに集中的に投資する投資信託や、最新テクノロジーなど一時的な流行を追ったような投資信託は、なるべく避けることをお勧めします。

理由は、分散投資という投資信託本来の目的がなくなっている可能性が高いことと、長期投資に向かない可能性があるためです。

分散させず投資先を絞るのであれば投資信託を使わずに直接投資できる方法がないかをまず検討するべきだと言えるし、その方のがコストが下げられるため、最終的な利回りは投資信託よりも上になる可能性があります。また流行を追った投資信託の場合、短命(数年で償還されてしまう)で終わる可能性があり、長期投資をすることができないこともあります。

長期投資ができなければ、一時的にでも損失を負ってしまった時、その損失を取り返せる可能性を手放すことになってしまうことも考えられます。



田仲幹生

投資会社、FP会社 ㈱あせっとびるだーず 代表取締役

投資、資産運用のスクールを運営。
資産運用、ファイナンシャルプランニングの相談などを行う独立系のファイナンシャルプランナー。

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