「増やすより減らさない」老後のつくり方

ここで言う、「減らさない」というのはインフレに対してという意味です。

本の中では、「買うチカラ」という言葉を使って、インフレに対する備えの大切さと考え方、そしてインフレに対してどういう運用を行ったらいいのかを説明しています。

この本が発売されたのは2012年なので、ちょうどアベノミクス相場が始まったころのものです。

この頃は、日銀の異次元緩和が始まったり、物価上昇率2%というインフレターゲットなどが話題になったりして、物価の上昇、いわゆるインフレに対して関心が高かった時期です。

日本はデフレだと言われています。

デフレという言葉だけ聞くと、物価は下落していると捉えがちですが、実際にはそれほど下落しているわけでもありません。

日本の物価変動率の推移は、

2012年 -0.06%

2013年 0.34%

2014年 2.76%

2015年 0.79%

となっています。

確かに、物価上昇率2%には遠く及びませんが、マイナスになるというよりも、0%近辺をうろうろしているという感じです。

2014年だけ2%以上の物価上昇率となっていますが、このときは消費税率を引き上げたという特殊事情があったためです。

つまり、デフレだからと言って、リスクをとらず現預金で置いておいても大丈夫というのはいかがなものかということです。

むしろ、デフレでも物価が下落するようなことがほとんどないのだとしたら、デフレのリスクよりも、インフレのリスクを気にするべきなのでしょう。

日本人は、デフレに慣れきっていてリスクを取らなくても何とかなってきたので、リスクをとることを極端に避ける傾向があるような気がします。

ですが、たとえデフレ状態であったとしてもインフレへの備えをすることは重要なことなのかもしれません。

そもそも資産運用とは、「買うチカラ」を減らさないために考えられたものだと筆者は説明しています。

今の資産運用という言葉には、資産を増やそうという目的で行っていることがほとんどですが、そういった流れは、まだ最近のことで、歴史も浅く、平常時というよりも異常なことなのかもしれないと言っています。

実際に、通貨とインフレと資産運用の関係を理解するにあたって。

株価指数/消費者物価指数のグラフや、金建て株価指数などの視点には、なるほどなと思いました。

1940年以降、米国の株価は大きく上昇しているように見えますが、金建て株価指数は上下に動いていながらも、ほとんど一定のレンジを行き来しているだけのようにも見えます。

つまり、株価が上昇しているというよりも貨幣価値が減少してきただけなのかもという考え方もできることになります。

1940年というと、だいたいニクソンショックがあったときです。この時、金本位制がなくなり、通貨と金が切り離され、通貨の本質的な価値が現物資産から政府の信用力に代わりました。つまり、政府が際限なくいくらでも通貨を発行することもできるようになったわけです。

ということは、金本位制をやめた後は、基本的にはインフレが起こりやすい環境になっているということを金建て株価指数は如実にあわしているのかもしれません。

日本も、将来的には今がデフレだからでは済まない話になる可能性もあるかもしれません。

その時大変な目に合わなうようにするためにも、インフレへの備えというのは、今のうちから考えておいた方が良さそうです。

この本の著者は『ハートで感じる長期投資の始め方』という本も書いています。

この『ハートで感じる長期投資の始め方』は、個人的にお気に入りの本の一つです。

『「増やすより減らさない」老後のつくり方』も『ハートで感じる長期投資の始め方』もインフレというものを意識していて、物価連動国債を使った投資について説明しています。

インフレに対して備えるとしたら、これほどわかりやすい投資先もないのかもしれません。

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