市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?

「市場均衡」「効率的市場仮説」、これまで当たり前のように言われてきたことです。

今ある金融商品も、これらの考え方を元に設計されているものが多いように感じます。投資信託や分散投資がまさしくそうです。最近話題になっている「ロボアドバイザー」なんかもそうかもしれません。

しかし、「市場均衡」「効率的市場仮説」これらの考え方には落とし穴があると、この本は教えてくれます。

確かに、「市場均衡」や「効率的市場仮説」の考え方は理にかなっているように感じますが、どこか違う。自分で投資をし運用をしていて、そう感じていました。

この本を読み終わったとき、その疑問を、すうっと解決してくれた。そんな感覚を受けています。

市場とはどんなところなのか?どんな力が働いているのか?それを理解するのに、これほど役に立つと感じた本はそうそうないです。

何よりも、この本で説明されていることは、よく話に出てくる「市場均衡」や「効率的市場仮説」の考えかたよりも、自分の感じている相場の感覚と非常にマッチした。そこが大きかったです。

まずは、効率的市場仮説を疑えということです。

株式投資などをしている人からしたら、市場が常に正しい価格を提示している「効率的なもの」なのだとしたら、なぜバブルが起こり、そしてその崩壊を何度も繰り返しているのか?と疑問に感じていると思います。

経済学では、市場は「見えざる手」によって歪んだものは必ず正されている。つまり、市場では常に正しい答えを導いているという考え方でできているようです。いわゆる「市場均衡」です。

ですが、実際の市場では、上に行ったり下に行ったりを繰り返していて、常に正しい回答を導き出しているとは言えないのではないかと考えることもできます。

市場の持つ効率性とは、あらゆる情報を瞬時に取り入れる「効率性」であって、「常に正しい価格を提示している」という意味での「効率性」ではないということです。

わかりにくい言い方かもしれませんが、株式市場は情報を瞬時に反映させる効率性は高いが、その情報を正しく理解し、正しい価格を示しているかどうかは、また別の問題だということです。

その理由としては「正のフィードバック」が一つ挙げられるとのことでした。

「正のフィードバック」とは、ある行動が、他のところに影響を及ぼし、またその影響が他のところに影響を与えるといったものです。

いわゆる「バタフライ効果」と呼ばれるものがイメージに近いかと思います。

株式市場に例えるならば、「値上がりすれば、それを見てさらに値上りし、また値を下げないものだからさらに買いたい人が現れさらに値上がりする」といった動きをすることです。

はたして、こうやってできた株価は正しい価格なのでしょうか?

また、この話からは、株式市場は予測不可能ということも説明できます。

ある人がかなり正確な予測をできたとすれば、その予測をもとに取引する人が現れ、さらにその予測をもとに取引する人を予測して取引する人も出てくるといった話になります。

こうなると、最初に予測できたある人の予測は当たらなくなってくる。そう考えられます。

株式市場にはこういうことが十分に起こりうることを考えれば、最終的には予測不能という結論になってしまいます。

市場というのは、天気や地震と同じような複雑系の体系になっているため、「均衡」という考え方は合わないというのが筆者の意見でした。

そして今の経済学では「均衡」という考え方が基準になっていることが多く、実践には合わなくなっているのではという話でした。そして「効率的市場仮説」の考え方も「市場均衡」という考え方からきているわけです。

むしろ「不均衡」という考え方をもとに市場を考えるべきではないのかという筆者の意見に、個人的には目からうろこでした。

この辺から、物理学の話になってしまい。なかなか理解が難しくなってしまったのですが。

もしかすると、この本の内容の3割も理解できていないかもしれませんが。

わかった点としては、市場が不均衡であると考えた場合、本来は「べき分布」になるということです。

投資信託などの投資商品で使われている考え方の、ポートフォリオ理論は「正規分布」が基本になっています。

しかし、実際には市場は「べき分布」であるということになれば、ポートフォリオ理論の根幹ともいえる「効率的フロンティア」がそもそも怪しいという話になってしまいます。

つまり、ポートフォリオ理論は、数学的には正しくても、株式市場などでは使えないということになってしまうかもしれないということです。

これには、少し衝撃を受けました。

そういえば、これと似たような感覚を受けた話がありました。それは相対性理論でした。

学校では主に「ニュートン力学」について物理学の授業を受けていました。

そして世界は、「ニュートン力学」の法則に基づいて動いているものだと教わったものです。

が、しかし「ニュートン力学」には限界があった。素粒子という世界では「ニュートン力学」では説明できないことが起こっていると聞いたのは、社会人になってからです。

そして、「ニュートン力学」だけで説明できないことを説明できるように「修正」したものが「相対性理論」だったというのです。

「相対性理論」だって相当昔に出た話なのに、学校ではそんなこと一言も聞いていなかった。すでに古くなった理論だけで話を終わりにさせてたのかとショックを受けたことがありました。

今は、証券会社でもFPでも、みんなポートフォリオ理論をもとに金融商品を設計し、当たり前のように、資産運用の話になればポートフォリオ理論を持ち出します。

しかし、その考え方(ポートフォリオ理論)自体すでに古く(実際は通用しない可能性も見えてきた)なっているのではないかと感じたわけです。

個人的には、この本はヒットでした。ベスト10に入るかもしれません。

正直、非常に難しく感じました。何より物理学の複雑系科学というか「不均衡」なものを理解しようというというちょっとした矛盾?みたいなものが概念として理解できないというか、勉強不足というか。

それでも、面白かったです。

なにより、今までなんとなく感じていた「市場均衡」や「効率的市場仮説」に対する疑問や不満をすべてすっ飛ばしてくれて、新しい市場の見方、考え方を与えてくれたということに感謝です。

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