外貨預金で資産運用は意味がない?

資産運用に初めて挑戦するとき、ほとんどの人がなるべくリスクの少ないものをと考えます。

その時の選択肢の一つとして外貨預金を検討することがあるかと思います。

外貨預金は、日本円に比べると利率が高いことがその理由のようです。

しかし、一部では外貨預金は高コストで為替変動があるから意味がないといった意見も聞きます。


外貨預金の利回りは高い?

米ドルや豪ドル、南アランドなどといった外貨預金は、日本の円預金に比べて金利が高いことが特徴です。2017年3月で見れば、日本円が0.001%なのに対して、米ドルが0.02%、豪ドルが0.3%、南アランドが1.6%(住信SBIネット銀行)となっています。

金利だけを見れば、確かに日本円で預金するよりも外貨にして預金したほうが良さそうです。

さらに、外貨普通預金ではなく1年物の定期預金にすると、米ドルが1.2%、豪ドルが1.8%、南アランドに至っては6.0%となっています。

それに対して、日本円の1年定期は0.02%となっていますから、その差は圧倒的です。


金利が意味するもの

金利とは、お金を借りるための賃貸料です。

貸す側からすれば、お金が返って来なくなるかもしれないリスク(信用リスク)、お金を貸している間は自分で使えなくなること(機会損失)、貸している間に価値が下落するリスク(価格変動リスク)を負うことになります。

そのリスクに見合った分の収益がなければと考えることになります。

預金に関しては、信用リスクがほとんどなく、いつでも引き出しできるので機会損失もありません。そうなると残るのは価格下落の変動のリスクだけになります。

価格変動のリスクとは。

今なら100万円で買えるAという商品を、5年後に買おうとした時、105万円になっていたといったことです。

見た感じ、Aという商品の値段が上がっただけのように感じますが、通貨を基準にしてみると、Aという商品の価値は同じなのに、100万円とは交換できなくなった。つまり100万円の価値が下落したと考えることもできます。

ちょっと感覚的にわかりにくいかもしれませんが。100万円という価値基準は絶対ではないということです。円という通貨も、物品のように常に価値が変動しているということです。

金利とは、この通貨価値の下落を補うためのものだと言われています。

「インフレ」という言葉がありますが、一般的には物価上昇のことだと言われています。しかし、見方を変えれば、「インフレ」とは通貨価値の下落を意味しているとも考えることができるわけです。

つまり、外貨の金利が日本円よりも高くなっているのは、インフレ(通貨価値の下落)率が日本よりも高いからという考え方ができます。

言い方を変えると、外貨預金をして高い金利を受け取れたとしても、その反面、外国通貨の価値は下落しているということになるわけです。

つまり、外貨預金は「高い金利+価値下落」でリターンを相殺してしまっていると考えることもできてしまうということになります。

実際には、外貨預金の金利が高いように見えても、円高が起こり金利収入を円高による損失で相殺してしまうと考えられているわけです。

さらに、外貨預金は、日本円を外国通貨へ変える時に為替手数料がかかるため、さらにリターンを悪くしていると言われています。

外貨預金と似たような外国通貨を買う取引であるFXや外貨MMFなどよりも、外貨預金の方が為替手数料が高い傾向にあるため、さらに外貨預金は資産運用に向かないと言われているわけです。


外貨預金は資産運用には向いていない?

結論から言えば、外貨預金は資産運用のために使うものではないと思います。

ただ、「外貨預金では利益は出ない」と言われれば、それも違う気がします。

たしかに、教科書的な話では金利収入は為替差損で相殺されることになるため外貨預金で収益を得ることは期待できないと言われているわけですが。

実際の現場と教科書が違うことは、どこの世界でも同じことです。

かといって教科書が間違っていると言っているわけではないので、そこは理解をお願いします。

実際の為替変動には、金利やインフレだけが影響しているわけではないことが、教科書と現実の違いです。つまり、外国の方がインフレ率が高いから、必ず円高外貨安になるとは言い切れないわけです。

たとえば、外国が金利を引き上げると、少なくとも短期的には逆の現象が起こります。

金利が引き上げられると、高い利回りを求めたマネーが、一時的にでも高い金利の通貨に流れる現象がよく起こります。この動きは、円安外国通貨高になります。つまり、先ほどまでの話とは逆の動きをしていることになります。

これが現実の相場の動きです。決して教科書通りに相場は動いてくれないということです。


外貨預金で利益を求めるなら、やっぱり複利運用だと思う。

為替相場が、現実と教科書とで違うところがあることは先に言いました。

しかし、何事も基本をおろそかにしては、ろくなことにならないと思っています。教科書的な話は、行ってみれば基本です。ですから、決して無視していい話ではないと思います。

つまり、金利の高い通貨へ投資をするならば、通貨価値の下落リスクを考慮しながら向き合うべきだと考えます。

そこで、価値が下落する外貨預金に対して利益を得るにはどうしたらと考えた時、やっぱりそこは、資産運用の基本である複利運用という言葉が出てくるのかなと思います。

たとえば、南アランドの1年定期預金の金利が6%と言いました。

年利6%というと、複利で運用した場合、約12年で投資元本が倍になる計算になります。

つまり、今の南アランドが8.79円だとすると、12年後に南アランドが8.79円の半分の4.39円を下回っていなければ、利益は出ているはずということになります。(過去10年間での最安値は6.40円)

さらに言えば、24年後は、投資元本が4倍になっているはずですから、8.79÷4=2.20円を下回っていなければ大丈夫という計算になります。

まさかそこまで下落することはないだろうと考えていた場合には、複利運用することで外貨の価値下落に対抗できるかもしれないという話になります。

しかし、言っておいてなんですが、念のため不安要素を追加すると。

まず、本当に2.20円まで下落することだってあるかもしれません。

また、南アランドの金利がいつまでも6%以上であるかどうかも怪しいところです。

もしかすると、2.20円まで下落する前に、南アランドがなくなってしまう可能性だってなくはない話です。

まぁ、資産運用である以上、そいういうリスクはつきものなわけですが。



外貨預金をするならば。

外貨預金で外国通貨に投資をするならば、できれば。

・コストの安いFXや外貨MMFまたはネット専業銀行の外貨預金から検討する。

・外貨預金ではなく、定期を使うようにする。

・外貨預金よりも、外国の債券を直接買ったり外国債券投資信託へ投資したりするのはどうだろうかと検討する。

・為替ヘッジつきの外国債券投資信託などはどうかを検討する。

といったことをして、それでもどれも合わなかったときの最終選択しとして外貨預金を選ぶとした方がいいように思います。


田仲幹生

投資会社、FP会社 ㈱あせっとびるだーず 代表取締役

投資、資産運用のスクールを運営。
資産運用、ファイナンシャルプランニングの相談などを行う独立系のファイナンシャルプランナー。

0コメント

  • 1000 / 1000