保険外交員は、金融音痴??

生命保険などの保険外交員、銀行の営業職員、ファイナンシャルプランナー、もしかすると証券会社の営業なども入るかもしれません。お金に関することを取り扱っているのに、実は、金融や経済にそれほど詳しくないように感じることがあります。

これらの人たちは、金融商品を売ることが仕事であり、売るための技術は磨いているが、金融そのものについては、それほど詳しいところまで勉強する必要がないのかもしれないです。

極端なことを言えば、あまり金融に詳しくなりすぎると、自分たちの販売している商品に対して疑問を感じてしまうというところもあるのかもしれないです。


昔、保険の営業をしていましたが、今は反省するのみです。

私も昔生命保険の外交員をしていたことがありました。今思うと、そのころお客様に話していたこと、勧めていた内容に反省する部分がかなりあり、申し訳なく思うことがあります。

よくあったのが、終身保険を勧める時に「60歳ぐらいになれば、保険料支払額よりも解約返戻金が同じか少し増えるようになっていますので、支払った保険料を損しないで済む」といった話です。

投資や運用を覚えた今思うと、20年後とか30年後に、支払った保険料と同じくらいのお金が貯まっていても仕方がないんですよね。20年、30年という超長期投資をしながら、リターン0(最悪マイナス)って、確かに元本から見たら損がないかもしれないが、20年、30年という時間をどぶに捨てているようなものです。(仮に30年間で総リターンが10%なんてのもほとんど一緒ですよね)

そんなもので、「保険を使って貯蓄しましょう」なんて言っていた自分が、今思うと恥ずかしいです。

それと、「銀行に預けているよりも、利回りが上です」なんてことも言っていました。

しかし、銀行預金はいつでも引き出しできる。元本保証(1000万円まで)がついているというメリットがあります。解約がめんどくさい、早期解約は元本割れ、積み立てる期間が数十年なんていう生命保険商品と比べること自体が間違っています。

比べるならば、満期が同じような期間の個人向け10年国債とか30年国債の利回りとかだったんだと思います。それでも生命保険よりも、売却や中途換金時には元本額が戻ってくるなど国債の方が預け先としてのメリットは上ですから、貯蓄という目線から言えば、生命保険商品の方が利回りが上でないとおかしいことになりますが。

結論から言えば、生命保険は貯蓄商品ではなく保障商品なわけです。

貯蓄は貯蓄商品、保障は保障商品と使い方を分けて考えるべきだったのだろうと思います。

私が生命保険外交員をしていた時は、言い訳かもしれませんが、当時していた説明は正しいと思っていたし、その程度でも人よりファイナンスに詳しいつもりでいました。

今思うと恥ずかしい限りですし、今更ですが当時保険に加入して頂いた人、保険の相談にのってあげた人に申し訳ない気もしています。


保険営業とファイナンス。

「インフレが来るから、ちゃんと貯蓄しないといけない。終身保険などをつかってしっかり積立しましょう」

インフレが来るのに、利率がほとんどない商品に、超長期で積み立てるなんて何を言っているんだという感じです。

仮に、インフレが2%、保険商品の利回りが0%(解約返戻金や保険金が支払保険料の100%になる)だとすると、30年後はその価値の差が2倍までは行かないが、それに近いぐらい開いていることになります。(72の法則、72÷利率が元本が2倍になる目安になる)

インフレだからこそ、少しでも利回りの高い方法で運用しないと、資産が守れなくなると考えるのが本当だと思います。

「ドルは円より金利が高いので、資産運用としてドル建ての保険はどうですか」

為替の世界では、金利が高い通貨は、通貨価値の下落(円高)によって金利差は相殺されるという話があります。つまり、他国通貨の方が金利が高いから利益がでるという簡単な話ではないということです。

ましてや、ドル建ての保険は、保険料もドルで計算されているため、為替変動によって保険料が変わったりします。通常、投資における考え方は逆です。資産の評価額は変動しても、掛金は変動させないドルコスト平均法というのが、積立投資の基本です。

ドルコスト平均法によって、価格変動するものの平均購入単価を下げ、最終的にはプラスに落ち着くことを狙うわけです。

ハッキリ言って、ドル建ての保険は、資産運用としては、リスクとリターンのバランスの悪さ、投資手法としても良い方法とは言いづらいです。逆に言えば、保険会社側にとってはリスクの少ない取引になっているのかもしれません。

「一生涯保険料が変わりません」

更新のたびに保険料が変わってしまうのは、怖い気がします。なので、一生涯保険料が変わらないというのは、ありがたい機能だと思うかもしれません。

しかし、一生涯保険料が変わらない保険商品というのは、超低金利の今の時代の金利を元に計算されていることになります。つまり、今後どんなに金利が上がることがあっても、今の超低金利で計算された保険料を払い続けることになります。

ズバリ言えば、社会的に金利が上がってしまったら、周りの金利のわりに低い金利で運用される割高の保険に加入し続けることになるということです。

今保険外交員が提案してくる商品は、更新型ではなく、一生涯保険料が変わらないタイプのものがほとんどだと思います。

保険会社からすれば、今後金利が上がることになれば、顧客へ負担する金利は低いままなのに、保険会社の運用利回りはどんどん上がっていくことになるので、その金利差は保険会社の収益にプラスに働く可能性が高いわけです。

これ以上、金利が下がることはないだろうと保険会社が考えていたとしたら、今のうちに、一生涯保険料が変わらない保険をできるだけ多く売ったほうのが、将来的に会社の利益が増えるだろうと考えているのかもしれません。

顧客側が合理的に考えるのであれば、低金利の時は保険料が変動する更新型の保険を選択したほうが保険料支払額の総トータルは少なくて済む可能性もあるわけです。

住宅ローンに加入するときに、低金利の時は固定金利のローンに、高金利の時は、変動型のローンにと考える逆のパターンです。


投資や運用を始めて感じること。

保険外交員をやっていた時は、当たり前だと思っていたことが、自分がお金を動かして運用する側、つまり、生命保険の保険会社と保険加入者でいえば、保険会社側になったことで、思うところがたくさん出てきました。

それと同時に、今現在保険などの金融商品を売っている人の話が、昔私が思っていたことと同じようなことを言っているのを見て、金融の世界にいるからと言ってファイナンスに詳しいとは限らないということも感じています。

当たり前の話ですが、保険も預金も投資信託も、みんな同じ金融商品なわけです。

つまり金融商品とは、その根本的なところでは、リスクとリターンの関係性、債券や金利の変動、株や為替の変動、景気変動などのマクロ経済要因などなどが影響し合ってできているということです。

それらが変動するパターンや流れなどが、結局私たちが購入している金融商品にも影響していて、それらのこと、いわゆるファイナンスについて詳しいか詳しくないかが、金融商品を品定めできるかどうかにも影響しているんだなと感じています。

保険外交員の時は、保険という商品枠の世界で、どのように使ったらいいかという研修はそれなりに受けてきましたが、それ以前の金利や為替などのファイナンスに関わる基本的なことは何も教わっていなかったなと感じています。

そして、今の保険外交員や銀行職員なども、昔の私が教わって、正しいと思っていたことと同じようなことを言っているところを見ると、今でも営業職員にファイナンスの基本を勉強させている所はほとんどないのだろうなとも感じます。

偉そうなことを言いいましたが、私もまだまだファイナンスのことで勉強することはたくさんありますし、まだまだ分からないこともたくさんあります。

ただ、何がわかっていないのかが感じられるようになっただけでも、保険外交員をやっていた昔よりも成長したのかなと思っています。


田仲幹生

投資会社、FP会社 ㈱あせっとびるだーず 代表取締役

投資、資産運用のスクールを運営。
資産運用、ファイナンシャルプランニングの相談などを行う独立系のファイナンシャルプランナー。

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