プロ投資家の「株を買いたくなる会社」の選び方 なぜトヨタは「買い」ではないのか(加谷珪一)

企業のファンダメンタル分析が主な内容です。

プロの投資家にとっての重要な視点は、「数字」「市場」「シナリオ」の3つだと言っていますが、本書の中で最も多く出てきている、「シナリオ」といった印象です。

特に、トヨタやソニー、ソフトバンクといった有名企業10社を、著者の視点から分析しているところは、本書の半分以上を占めています。

数字としては、企業の利益をどう見るかや、財務諸表の何に注目するかといったもので、やっぱりファンダメンタル分析です。

また、今後の企業や、企業が事業を行っている市場を分析している視点もファンダメンタルになります。

しかし、ファンダメンタル分析というのは、どうしても個人的な視点が入りやすく、非常に難しい分析です。

「本書で解説しているような未来が来るかどうかは、やっぱりわからないよね。」

というのが個人的な感想です。

ただ、この本で言っていることを基に投資を行うというよりも、ただ「知っておく」という意味では参考になるのかもしれません。

そもそも、著者自身もそういった意味でこの本を書いているのではないかと感じました。

著者は、コンピューターがハードからソフトへ重点が移行するという事を子供ながら感じたという話がありました。

そういう感覚も必要なことなのかもしれませんが、やっぱりそれも「当たるも八卦当たらぬも八卦」の話であることを感じます。

バフェットなどが、コカ・コーラなど目新しい事業を行っているような会社ではないが、経営が安定している企業の株を好むという話がありますが。

この場合は、これからの変化を読むのではなく、今後どんな変化が来たとしても、これまでと同様に事業を行っていけるだろうと考えている企業を選択しているという事になると思われます。

つまり、筆者の株式投資の見方とは少し違うという事ですよね。

どちらのやり方正しいのかはわかりませんが、おそらく後者の方が、株式市場で安定的に利益を上げていけるのではないかと、個人的には思うところです。

だからといって、後者のやり方が正しいというわけではありませんが、そこが株式投資の難しさなのかもしれませんね。

また、たとえ高い可能性を感じる「シナリオ」が描けたとしても、それが実現するまでにどのくらいの時間がかかるのかもわからないというところもあります。

その間に、違う「シナリオ」がでてきたり、「シナリオ」を強く意識しすぎて、間違いに気づくのが遅くなったり、方向転換ができなくなったりという事もよくある話です。

「シナリオ」を描くのもいいけど、それをあまりにも重視するのもいかがなものかという気もします。

「シナリオ」で投資をしながら、同時にバフェットのような堅実な投資もする。

そんな分散投資をするスタイルの方がいいのかなというのが個人的な感覚かなと。

ただ、可能性の一つとして本書の「シナリオ」を読むのも面白いかなと思いました。

田仲 幹生

ⅭFP(ファイナンシャルプランナー)資格認定者、1級FP技能士、個人投資家

外資系の生命保険会社で営業を行い、後に税理士事務所に勤務、2016年から今までの経験を生かしながら、投資活動および資産形成を主な目的としたFP業を行っていきたいと思い独立。

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